第2回目のインタビューは「有限会社hapuna&Co.」さん。洋服から鞄、靴、下着までトータルに、アパレルアイテムの企画・製造・販売を行っています。

『Nouvelles du paradis』『LAITERIE』『tumugu:』『ESTROISLOSE』『ANVOCOEUR』『minan polku』『hcubuch』『me.』とコンセプトが異なるさまざまなブランドを展開。また、セレクトショップ『Hemming shop』『stand&』『Si Hemming shop』『aMaFacon Hemming shop』の4店舗を構える他、ウェブショップ『my Essentialss』も運営されています。

靴下では『meri ja kuu(メリヤクー)』と『en Lille(リーレ)』の2つのブランドがあり、ニット・ウィンも靴下づくりのお手伝いをさせて頂いています。

今回は、靴下チームの皆さんにお話を伺いました。

右 :渡辺 梓さん 企画/webshop myEssentialss バイヤー
中央:山根 理恵さん 企画
左 :太田 円さん 企画
-なぜ靴下のブランドをはじめたのですか?

もともと洋服のブランドからスタートしたのですが、卸売先であるお客様から「洋服に合う服飾雑貨を作ってくれたら、お店としてはトータルコーディネートが出来るんだけど…」というお話を頂くようになって。社内で靴下に興味がある人を募ったところ、やってみたいという声が上がったので、立ち上げに向けて動き始めました。

それまで靴下は全く作ったことがなかったので調べていくと、奈良の広陵町という場所が日本で一番の靴下の生産地であるということを知りました。それから奈良に足を運ぶようになり、製造してくださる工場さんとの出会いもあって、靴下ブランドを始めることが出来ました。ニットウィンさんともそこからのお付き合いですね。ブランドを立ち上げた当初のスタッフから引き継いで、現在は3人で靴下を担当しています。

-靴下の中でもコンセプトの違いがありますよね。

『meri ja kuu(メリヤクー)』はフィンランド語で“海と月”。まず春夏秋冬、季節ごとに旅する国を決めます。そこから繋がる言葉を見つけ、それぞれの靴下に物語を作っているのが“コレクション”。そして、シルクと天然素材を重ねて履く“冷えとり靴下”があります。

“コレクション”で最近テーマにした国は、冬はイギリスで、この春はメキシコですね。これはニット・ウィンさんから「ワッフル生地ありますよ」って教えて頂いて可愛いなと思って。メキシコというテーマに落とし込むなら、遺跡にしようと思いつきました。四角が壁になって連なってるところが祭壇っぽいイメージなんです。

もうひとつのブランド『en Lille(リーレ)』は『meri ja kuu』の冷えとり靴下を、もっとカジュアルに、日常的に履いて欲しいなという思いで立ち上げたブランドです。デンマーク語で“ちいさいもの”。ちょっと意訳した感じなんですけど。

-皆さんとは6年程のお付き合いになりますが、靴下に携わるのは全く初めてでしたよね?苦労したことってありますか?

私たち、靴下のこと本当に何も分かっていなかったので、最初は凄く大変でした。工場さんからしたら「何言ってんねん」ってことめっちゃあったと思うんです。編み機の特性上出来ないことをお願いしてたり。靴下って、編み機って、こういうものだって理解するところからのスタートだったので。過去の仕様書をたまに見返すと、よくこんなことお願いしてたなって恥ずかしくなることが結構あります(笑)

-初めは大変でしたよね(笑)でもどんどん知識を吸収されて、デザインもいろんな表現にチャレンジされてて、面白いなといつも感じています。一度の展示会でいくつくらいデザインされるんですか?

一回の展示会でトータル60種類くらいのデザイン数です。靴下は洋服と違って形が決まってしまっているので、素材や色味や厚さを変えたりして、どう表現していくか。“コレクション”はちょっと賑やかなイメージでジャガード編みが多くて、ローゲージの靴下。『en Lille』は、シンプルで編み目が細かいハイゲージの靴下と、使う機械も分けるようにしています。その方がお客様にとっては考えやすいかなと。

初めは知識がなかったので無茶なお願いをしていたのですが、だんだんと、ニット・ウィンさんの機械の種類だったり、この機械やったらどういう風に編めるのか、何が合うのかがなんとなく分かってこれるようにはなったかな。現在4社の工場さんに生産して頂いているんですが、工場さんによって機械の表現の得意なところがそれぞれ異なるので。このデザインの靴下だとジャガードの機械を使いたいから、ニットウィンさんにお願いしよう!とか。でも、私たちだけがその機械を使っている訳ではないので、機械の稼働状況を確認しながらお願いするようには心掛けています。

-工場のこといつも凄く考えてくださりますよね。ニット・ウィンと靴下づくりを進めるなかで、どんな印象を持たれていますか?

ブランドの雰囲気を凄く理解してくれているなって思います。ニュアンス的な部分って結構伝わりにくいと思うんですけど、ニット・ウィンさんはちゃんと汲み取ってくれる。世代が近いっていうのも大きいかな。こうした方が『meri ja kuu』っぽいんじゃないですか?って細やかなところまで提案してくれたり、やり取りを何度も繰り返しますよね。なかなかそういう工場さんって少ないように思います。そんなに変わりないように見えることも、わたしたちにとっては大きな違いだったりするので。

『meri ja kuu』は天然素材をメインに使うっていうのがベースとしてあるんです。麻の糸を使うことも多いんですけど、結構編みにくいんですよね。編んでる途中で切れてしまったり、使う機械によっては、調子が悪くなってしまうこともあって。そういう時は、こうなるからこうした方がいいっていう提案が必ずあるので、助かっています。途中で、今こんな状態になっているんですって連絡も下さるので、出来上がって、私たちが思ってるのと違うってことはまずない。

-皆さんから頂く企画は、自分たちも実際にやってみないと分からないことも沢山あって。その辺りは一緒に実践でやっていきながら、いつも勉強させてもらっています。

私たち3人ともそれぞれキャラが違うし、出てくるデザインも全然違いますよね。いつもいろんな提案を下さるので本当に有難いです。ニット・ウィンさんがこんな提案してくれた!っていうのが、凄く嬉しくて。これからもたくさんの提案を、期待しています!

 
 
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