いつもニット・ウィン、そして私たちのハウスブランドを応援いただき、誠にありがとうございます。
2026年5月13日、私たちにとって大変誇らしく、身の引き締まる大きな節目がございました。弊社の二代目であり、現会長の西口勝博が、多年にわたる靴下製造業への貢献と産業振興への功績を認められ、国の叙勲制度において「旭日単光章(きょくじつたんこうしょう)」を拝受いたしました。
今回の叙勲は、会長個人の功績に留まらず、1950年の創業以来、奈良の地で一足一足に想いを込めて靴下を編み続けてきたニット・ウィンの歴史、そして共に歩んでくださった従業員や協力メーカーの皆様、何より当社の靴下を愛してくださるお客様全員で手繰り寄せた、ひとつの大きな結晶であると感じています。
この栄誉ある節目に寄せ、1950年から三代にわたり紡がれてきたニット・ウィンのものづくりの軌跡と、私たちが未来に向けて挑み続けるこれからのビジョンについて、改めて言葉に紡ぎたいと思います。
経済産業省による令和八年春の勲章・褒章伝達式の様子

時代と共に変わる、三代それぞれの役割と共通のテーマ

ニット・ウィンの歴史は、時代ごとに課せられた異なるテーマを、それぞれの代が必死に「やりきる」ことで次の世代へとバトンを繋いできた歴史そのものです。

初代・西口勝次:モノがない時代の供給、そして「商品開発」への情熱

1950年、戦後の混迷期に初代の西口勝次が工場を立ち上げました。初代は創業期の爆発的なエネルギーを持っていただけでなく、誰よりも「商品開発」に最も力を注いだ経営者でした。 その象徴ともいえる開発商品が「温泉たび」です。「旅館でスリッパや下駄が他のお客さんと入れ替わってしまい不快である」というお客様の潜在的な不満(ニーズ)を捉え、足を簡易に清潔に保つアメニティとして開発されました。モノがない時代に確かな品質の商品を届けるという使命を果たしながら、この画期的なアイデア製品を生み出した初代の開発精神こそが、ニット・ウィンの創造性の原点となりました。

二代目・西口勝博(現会長):時代を先読む独自の「差別化」と事業の発展

2000年代に入り、安価な中国製品が本格的に国内へ輸入されるようになると、日本の靴下産業は激しい価格競争の波にのまれ、多くの国内工場が岐路に立たされました。その中で二代目の西口勝博が挑んだテーマが、一般的な靴下メーカーとは一線を画す「徹底的な差別化」でした。 従来の靴下製造だけに固執せず、蓄積された技術を応用して「サポーター」や「五本指靴下」の製造へと舵を切り、さらに初代が開発した「温泉たび」を時代に合わせて広く展開。これらをアメニティやヘルスケア市場へと繋げるなど、販売チャネルそのものをドラスティックに変更する独自の動きを見せました。この柔軟で挑戦的な差別化戦略により、「温泉たび」は二代目の時代でも会社を支える大きな事業へと成長を遂げました。今回の旭日単光章の拝受は、まさにこの困難な時代を日本のものづくりのプライドと革新的な経営手腕で切り拓いてきた会長の歩みが認められた結果に他なりません。

三代目・西口功人(現代表):ブランドの立ち上げと「OEMからの脱却」

そして時代は流れ、大量生産・大量消費に対する環境意識が高まり、本質的な価値が問われる現代。三代目として私が課せられたテーマは、これまでに培った技術を結実させ、自らの言葉と意志でお客様に直接届ける「ブランドの立ち上げと、直営店の展開、海外輸出によるOEMからの脱却」でした。 下請けとしての製造だけに留まるのではなく、「NISHIGUCHI KUTSUSHITA」「hakne」「memeri」といった自社ハウスブランドを展開し、直営 store を通じて私たちの想いを直接お客様へ届けること。日本国内だけでなく、世界の主要な都市の展示会へ出展し、グローバル市場へと販路を広げること。
初代、二代目、三代目。それぞれの代で向き合ってきた課題やテーマは全く異なります。しかし、前の世代がその時代の責任を全力でやりきり、最高の状態でバトンを繋いでくれたからこそ、今のニット・ウィンがあります。この「三代のバトン」が美しく繋がった結果が、今回の叙勲という栄誉につながったのだと確信しています。

式典会場にて、旭日単光章を拝受した会長・西口勝博と家族一同

私たちが掲げる目的:”靴下で一日を変える。靴下で価値を変える”

私たちがものづくりを続ける理由は、売上を拡大することや会社の規模を大きくすることだけではありません。私たちの根底には、「何のために、誰のために、なぜものづくりを続けるのか」という明確な事業目的があります。それが、”靴下で一日を変える。靴下で価値を変える” という言葉です。

靴下で一日を変える

世の中にものが溢れている現代だからこそ、私たちは本質を捉えたものづくりにこだわります。厳選された天然素材を使い、伝統的な編み機で、職人が手間暇を惜しまず編み上げる。そうして生まれた靴下を、お客様が足を通したまさにその瞬間、「履いた瞬間に驚くようなクオリティ」を感じていただきたい。お気に入りの靴下を履くだけで、その日一日の気分が少し上向きになる。私たちの靴下が、お客様の暮らしや一日を豊かにするスイッチでありたいと願っています。

靴下で価値を変える

これまで靴下は、どこか「消耗品」として扱われがちでした。しかし、私たちはその価値を「一日を豊かにするもの」へと高めていきたいと考えています。 そして「価値を変える」ということは、お客様に対してだけでなく、ものづくりの内側にいる仲間たちに対しても同じです。事業を通じて、私たちの社内の技術チーム、製造現場、正式なクオリティを支える協力メーカーの皆さんが行う「靴下のものづくり」そのものの社会的価値を高めること。精度高く一足を編み上げる職人の誇り、そしてそれに関わるすべての人の暮らしや仕事の価値を豊かに高めていくこと。これこそが、私たちがこの時代においてものづくりを行う大切な目的です。


私たちのものづくりの拠点であり、お客様と繋がる場所である factory store と共に

ハウスブランドとOEM事業を通じて、世界への挑戦は続く

今回の叙勲という名誉ある節目を迎えましたが、私たちの挑戦がここで立ち止まることはありません。

ニット・ウィンは、創業から続く大切な柱である「OEM事業」において、培ってきた高い技術力と深いノウハウを惜しみなく提供し、パートナー企業の皆さまと共に新しい価値を創造し続けます。 同時に、私たちのアイデンティティであるハウスブランド事業—— 「NISHIGUCHI KUTSUSHITA」「hakne」「memeri」 ——というそれぞれの個性を研ぎ澄まし、国内外のより多くのお客様の暮らしに寄り添っていきます。

これまでの歴史への感謝を胸に、私たちはこれからも日本の、そして奈良のものづくりのプライドをかけて、世界という大きな舞台へ挑み続けます。
会長が紡いできた技術への情熱をしっかりと引き継ぎ、皆さまの「一日を変える」一足をこれからもお届けしてまいります。今後とも、株式会社ニット・ウィンをどうぞよろしくお願いいたします。