出典:https://www.mumokuteki.jp/feature/5536/
街にはイルミネーションがちらほら。
と同時に、手足のかじかむ季節が近づき、そろそろ本格的に冬支度をしたいところ。
mumokuteki 店頭には、NISHIGUCHI KUTSUSHITA (西口靴下)や hakne(ハクネ) のソックスやレギンス、アームウォーマーなど、思わず手に取りたくなるニットアイテムが並んでいます。
実際、靴下に足を通すと、いや触れた瞬間からふわっとやわらかな手触りに、心がほっこり。
肌を優しく包み込んでくれる温もりに癒されます。
今回、ムモクテキにお越し下さるみなさんに、NISHIGUCHI KUTSUSHITA の魅力を深くお伝えしたいという想いから、株式会社ニットウィンの三代目 西口功人(いさと)さんにお話を伺ってきました。
株式会社ニットウィンは奈良県葛城市に工場を構え、戦後三代続くファクトリーブランド。
“はくひとおもい”を合言葉に、徹底的に素材・製法・ベーシックデザイン・価格にこだわった〈1日を変える靴下〉をつくり続けています。
さっそく通されたお部屋には、西口靴下時代からのアイテムが並べられていました。
思わず手にとると、改めて素材の心地よさに惚れ惚れ。
「すべてのアイテムにこだわりが詰まっているので、ひとつ5分はお話しできますよ(笑)」とにこにこ説明してくれました。
西口さん(以下敬称略)「例えばこのウールジャガードソックス。踵やつま先が3回履いただけで破れる事例があって。負担のかかる箇所にはもちろん強度のあるナイロンを織り交ぜて、最低1年は履けるような仕様になっているんです。外部の検査機関に出して、強度の基準も数値化しているんですね。自社での検証の結果、踵の位置をしっかり合わせて履いていないために、強度のない箇所に負荷がかかって破れてしまうことがわかったんです。伸縮性のあるウール素材なので、正確な位置に踵を収めなくても履けてしまうんですよ。なので、試作を繰り返して、縫い目の角度を微妙に変えることで、踵を合わせやすく改良しました。更に今後は、しっかり奥まで履かないと気持ち悪いくらいの仕様を研究して、誰でも最適な状態で履ける靴下をつくろうと計画中です(笑)」
mumokuteki(以下m)「こだわりがすごいですね!」
西口 「僕らのつくる靴下はファッションアクセサリーとしてだけではなく、直接肌に触れるという意味で下着としての靴下と捉えています。毎日身につけるものだから定番を作り続けることに徹底的にこだわる。それ故に、絶対改良点が出てくるんですね。新商品を出して、はい終わり、じゃない(笑)でも僕らのこだわりに共感してくれる人が、去年履いた靴下を今年も履きたいと言ってくれる。そういう今のユーザーに一番履いてもらえるブランドでいたいんです。だから、どのアイテムも、こそっと改良していたりします(笑)」
m 「確かに、お店でもリピーターさんが多いです。スタッフにも愛用者がいますし、私も今履いてます(笑)」
西口 「ありがとうございます(笑) お客さんの根底にあるニーズを汲み取って、自分達なりの答えを提案する。それがファクトリーブランドとしての誇りであり、責任かなと思います。こんな靴下欲しいなっていう言葉の裏には、どういうシーンで履きたいか、履いた時にどんな気持ちになりたいか、が隠れています。そこを掘り下げて削ぎ落とす。良い素材と工場の編み機、それぞれの良さを最大限活かすと、こうなるよねっていう」
m「ニットウィンさんの靴下は、天然素材をたっぷり使って、仕上がりも肉厚でしっかりしているのに、手にしやすい価格ですよね?」
西口 「そうですね、化学繊維の方が強度が高い。でも僕たちの大切にしている〈1日を変える靴下〉っていうのは、朝起きて靴下を履いた瞬間にちょっと心が喜んで、1日が終わって靴下を脱ぐ時にもほっと癒されるようなはき心地の靴下なんです。そこにこだわるとやはり天然繊維になる。なので、つま先や踵に強度の必要なアイテム以外は極力僕たちが選び抜いた天然素材を使用しています。毎日履くものだからこそ、価格にもこだわっています。プレゼントには使うけど、自分用には高くて買えないっていうのはやっぱり違う。」
m 「カシミヤやシルク素材のアイテムも定番ですよね?」
西口 「世間に出回っているカシミヤの靴下の価格の高さとクオリティの低さに憤りを感じました。カシミヤ本来の美しさとやわらかさを活かした本物のクオリティを、西口靴下が出さなきゃ!という想いで通常の3/4ほどの価格で作りました。自分たちのひとつの正解は示せたかなと思います。」
m 「ファクトリーブランドならではの提案ですね。mumokuteki でもカシミヤウールソックスやカシミヤコットンソックスを取り扱わせていただいていますが、しっとりした手触りがとても気持ちいいですよね。生地感もほんとうにきれいです。NISHIGUCHI KUTSUSHITA とは別ブランドの hakne ではシルクリブレギンスやシルクウールダブルフェイスソックスなど、肌側はシルクでなめらかな肌当たり、表側はウールで保温性を高めた、それぞれの素材を活かしたアイテム展開も魅力ですよね?」
西口 「はい、hakne は女性の繊細で神秘的なイメージを大切に切り取ったブランドです。今年4月にスタートしたばかり。上質な天然素材と、ここでも”定番”を大切にしてアイテムをつくり上げています。」
続いてニットウィンさんの真髄、工場内を案内していただきました。
入り口を1歩入ると新旧さまざまな種類の編み機がずらり。
それぞれ得意な素材やデザインによって使い分けられているそう。
ピンと張り巡らされた糸が編み機の中にどんどん吸い込まれて筒状に編み上げられ、そして編み機の外に排出されます。
工場内ではこの100台を超える編み機を10人の技術者が巧みに操り、NISHIGUCHI KUTSUSHITA をつくっています。
中には、扱える技術者が数少なくなってしまった貴重な編み機も。
出来上がってきた生地の中に、mumokutekiでも人気のウールジャガードソックスを発見!
この靴下を編み上げているのは、やむなく廃業した同業者から買い取った編み機です。
戦後、農家の副業として始まったこの地域の靴下産業は、興隆を極めた後、2000年代になると海外生産の安価な大量生産に押され、周りの同業者は次々と廃業に追いやられたそう。
そんな中、貴重な編み機を買い取り技術を継承してきたニットウィンなのです。
続いて編みあげられた筒状のニットはカットと縫製を施し靴下の形へと仕上がっていきます。
特にウールは伸び縮みしやすいので、このあと洗いをかけることを見越してゆったりと編み上げてあります。
棚には数え切れない数の糸がずらり。
そして入念に検品がされた後、すべての検査に合格すると、晴れて NISHIGUCHI KUTSUSHITA のネームがつけられます。
ニットウィンでは、若者からベテランまで10人の技術者と、30人ほどの市内在住のパート社員に支えられ、〈1日を変える靴下〉がつくられているのです。
m 「こだわり抜いた靴下に、愛用者の多いニットウィンさんのアイテムですが、今後の展望を教えてください。」
西口 「自分達のニッチなこだわりの詰まった靴下を海外の人にも届けたいですね。今もヨーロッパやアメリカとのお取引があり、オーストラリアでは取扱店が40件ほどです。クラシックを大切にする文化の色濃いヨーロッパ圏でも NISHIGUCHI KUTSUSHITA のお取り扱いが増えています。90%ほどが個人店で、やはり共通して評価されているのは、その1足に込められたストーリーです。ファッション性だけではない、天然素材やはき心地、ベーシックを貫く姿勢が海外の人たちに受け入れられていると感じています。僕らも自分達の大切にしているこだわりを理解してくれる人や、お店じゃないと。だから国内外問わず大手企業とのWネームで商品展開を、というお話も頂くんですが、自分達のこだわりに妥協しなきゃいけなくなると、それは違うなと。」
m 「なるほど、そこまでブレない自分達の軸があるから定番を極められるんですね。mumokuteki京都店には、土地柄もあり、海外のお客様も多くいらっしゃいます。直接手にとっていただける貴重な場になれていると思うと私たちもやりがいを感じます。」
西口 「僕たちも、お客さんに魅力を伝えてくれる販売店さんの声を大切にしています。」
m 「今日の西口さんの熱意のこもったお話を伺って、ますますmumokutekiのお客様にも NISHIGUCHI KUTSUSHITA の良さを知ってもらいたいと思いました。本日は貴重な機会をどうもありがとうございました。」
西口 「ありがとうございました。」
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